今日は全く激しい日だった。もともと予定していた実験は単結晶試料の軸たてができていないということだった。今週初めからというか一月初めから解決しようとしてきた問題だが複数の問題が解決できずに結局僕が自分の実験をすることになった。
まずは初めに今回の実験は磁場中の中性子回折実験。磁場をかける装置をまず私の管理している三軸分光器に乗っけるところからはじまる。これには大体一日かかる。これに対して前回の実験者から引きつけばよく。すぐに実験できる状態になっていた。しかしながらすぐに実験できる状態というには一つ条件があってそれは軸立てが終わっているということだ。今回はそれができていなかったということ。準備ができていなかった。この磁場中の実験でなぜ軸立てが重要かというとこの磁場装置を載せた状態では装置を傾けることができず、試料の軸立ては完璧にしなくてはいけない。具体的には1度以内に傾きを抑えなくてはならずこれは目視では確認できないほど小さなものだからだ。
今回、共同研究者は入念に準備をしてきたがそれでも実験を始めることができず、私の試料を代わりに入れることにした。彼らの実験は後日やることになる。それはそれでよい。自分自身問題解決に向けていろいろしたが今回は困難だった。
一つは試料の軸立てをするための装置がこちらにはある。それを使って準備をする予定だった。この装置は動作状況も良好で実際に使える形であるが、なんとその上流にある装置が修理中でありその修理中の装置が中性子ビームを遮っている。なんとここで運が悪いことにこの中性子ビームを遮っている状態さえ解決すればいいものの、安全装置に関わるところで動かせない状態だという。なのでその装置を使って軸立てができないということがわかった。この装置を軸立てに使えることが最善だったがその手が撃たれてしまった。
次に他の装置で軸立てをするという手もある。しかしながらその軸立てに適している装置を担当している人が休暇中であり、さらに装置は実験の予定が目いっぱい入っていてどうやらここ一週間はどこも使えさせてもらえそうにはない。これまた運がない。
そして最後にすごいラッキーでもう一つ装置が一日空いているということが分かった。装置担当者がご厚意で一日使わせてくれることが分かったが、その装置はあまり軸立てには向いていない。特に現段階の軸立て状況においては絶望を感じるほど。案の定、一晩を費やしても軸立ができなかった。
さらにはいま置いている磁場装置を今日金曜日に取りだして、我々のゴニオメーターを取り付ける。そして軸立てを我々の装置で行いさらに時間の都合で月曜日にまた磁場装置を取り付けるという案もあるが。先ほど言ったように磁場装置を入れるだけで一日作業なのであるから、この案は大変なリソースを使う。
やれるだけのことはしたがダメだったということだ。仕方ないので私の実験をしているところだが、あまりよい成果も得られる保証もないが。これだけあれもこれもやってダメということも珍しい
今回学んだことは以下のことである。準備は大事なのは言うまでもない。一方で磁場を使える状況になったことでチャンスでもあったととらえられる。なぜならそのユーザーが使えず自分が使える状況になったから。そこであまり良い案がなかった自分がまずいとおもう。したがって、私はチャンスを生かす準備をしておくべきだったということ。
このためには普段から良い単結晶試料をたくさん準備しておき時間があるときにはなるべく軸立てを完璧な状態にしておくことが大事。さらに磁場にも載せられるようにアルミ板をすべて使ってさらに磁場にも対応できるように準備しておく。これからもよいサイエンスをしていく準備をきちんとしておこう。今回やることになった実験からも良い結果も出るかもしれない。これからも質の高いサイエンスを頑張っていこう!