本のレビュー2【世界一やさしい『やりたいこと』の見つけ方 人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド】 八木仁平著

私は物理学者である。日本で博士号を取得後、アメリカでポスドク2年強、オーストラリアでテニュアとして研究者をしてもう7年になる。1カ月ほど前に誕生日を迎え39歳となった私は不惑の歳を前にいろいろと考えることが多くなってきていて、このようにブログを書いて本のレビューをするのにも理由がある。前と違って勉強に対するモチベーションというものがあまり上がってこないのだ。昔は無邪気にいろいろなことを勉強することは仕事に役立つと思ってきていたわけでだが仕事をしばらくしてみてそこまで影響はなかったのかもしれないと思うことに加えて仕事でも大体生きていくのには必要なほどの能力は身に着けてしまった感じがあること。なので、さぼらなければこのまま定年までは行けそうだよねって思う自分がいる。もちろんさぼってはいないし意欲的に取り組んでいるほうだ。一方で最大限に昇進したとして研究所の所長だったりして頑張ってあそこに行って何があるのか?なにもなさそう?って思ってしまう。むしろ今みたいなポジションが一番好きな研究に没頭できるのでは?と思ってしまう自分がいたりする。私は物理学者としての才能は三流だが運がとてもよく早めにテニュアをいただいてまあ幸運だったこと、まあ英語も全然できないが間違えても恥ずかしいという気持ちがマヒしてしまうくらいにはなった。論文も頑張ったら必要なデータを実験して取って解析して論文としてまとめる力もまあできてきた感じはある。でもこれから超がんばっても超一流の科学者になるなんて気力も体力もなさそう。でもあきらめたくない自分もいる?少なくとも自分到達できる最高レベルには少なくとも頑張っていきたい。なんてモヤモヤ。

さて40代に向かっていくに向けてこれから何をしたいか?てかもうやりたいことしてきたよね。。てか待てよ?自分は物理学者になってやりたいことをやってきたはずだが果たしてそうか?同僚の中でも本当にやりたくてやっているような人もいて本当にそうなんだろうか?英語を勉強することも楽しかった。ただこれ以上にやって何がある?というかやるべきことはわかっていてただやるだけ。。。おいおいと。長くなってしまったが、そう思ってもう一度『やりたいこと』は何だったか?を見直してみたい考え直してみたいと手に取った本である。

結論から言うとこの本は良い本です。著者が何を言いたいかというと自己理解をしろということです。その自己理解をやりたいことを見つけるために三つの柱に注目する点を分解しましょう。その三つとは

  • 好きなこと:価値観:What
  • 得意なこと:才能:How
  • 大事なこと:情熱:Why

まあ簡単にいうとこの三つの要素が重なればそれがあなたが本当にやりたいことである。本書を読むと具体的にそれぞれがどういったものでどういう風に見つけるかが書いてある。著者の説明は僕自身には向いていなかったように感じたが言いたいことはわかった。というか言い方を変えると自分がなんとなく考えていることをそれぞれの要素に落とし込んでいくことは本人しかできないし、さらに言うと定義は究極的には各個人が決めてもいいと思われるのでここは説明が難しいのがわかる。なんせ自己理解なのだから。

この三つを柱に自己理解をすればいいと理解してからその後の文章はちょっと自分には合わなかったと思った。しかしこれは自分が今まで好きなことをやってきたからで逆に言うと悩まなかったのだからかもしれない。そのあとちょっとだらだらと読んでしまい、まあまあの本かなと思ってしまったところで巻末まで来た。そこで衝撃の特典が。。。

それがこの三つの見つけるそれぞれ30の質問表。これをやればいいじゃん?一つ一つの質問を答えるのは大変そう。なぜなら合計90の質問がある。正直一日二日でできるとは思えないがきちんと質問に向き合って正直に答えていけばこの三つの要素の理解は深まると思う。自己理解はどうせ一日二日でするものでなく、このようにブログを書いたりしてコツコツと自分に対する理解を深めていく作業なのでこれらの質問に答えていけば必ずというか少なくとも自分の理解は深まり、それに従って自分のしたいこと本当にやりたいことがわかってくるということだと思う。

公式は以下

やりたいこと=好きなこと×得意なこと

本当にやりたいこと=大事なこと×好きなこと×得意なこと

であり、これを理解したと合計90の質問に自分なりに答えるだけでもかなり自己理解は深まる。確かに宿題はヘビーではあるが本書はそれらをこなせば本当に人生に役立つ本だと断言できる。なのでやりたいことを見つけていない人、やりたいことをやっていると思っている人も本書を読めば自己理解を深めることができる。それは必ず人生に役に立つと思う。質問が合わなければ自分で考えればいい。

したがってその道筋を示してくれたこの本は大変に良い本だと思う。