前にも書いてきているように最近研究が楽しくなってきた。もちろん苦しいこともあるが今はできることがたくさんあるように思えてよい。研究としては明らかにボトルネックの位置が変わった感覚がある。少なくともボトルネックのひとつが解消された一方で新たなボトルネックができてきたような感覚がある。最後のボトルネックはやはり論文だが。。。これは変わらないだろうが一方で後は論文だけじゃないかっていう気もしている。それだけかな?
少し考えてみよう。研究の流れを考えてみるとひとつの重要な仕事は中性子散乱実験プロポーザルを書くこと。これには何が必要になるかというとまずは研究バックグラウンドのリサーチ。過去の研究を知ってどういった研究をしていきたいか。プロポーザルを書く時点で大体論文は書けるだろうという目論見で書くものだ。まずはリサーチ。それともう一方で僕が気にするのは大きな単結晶が得られていること。最終的に私の得意な非弾性中性子散乱や偏極中性子散乱にもっていくために大きな単結晶が得られる必要があるが試料によってはこれは大変難しい。ただしあまり研究がされていなければ単結晶があればほぼ確実に論文にはなるだろう。特に単結晶が今まで作られていないものだと確実に論文にできる。そういう結晶に出会えると最高で論文を書きながら実験していきたいくらいだ。ボトルネックの流れが変わってきたのはこのところ。もともと単結晶を探したりつくったり得たりするのがボトルネックだった。単結晶は貴重なものなのだが最近はたくさん得られるようになってきた。これは大変ありがたいことだ。単結晶の取得がボトルネックだったのだが単結晶がたくさん得られるようになってきて逆にその研究背景のリサーチをして基本測定をしながら中性子散乱実験プロポーザルを書くことがボトルネックになってきた。
中性子散乱実験プロポーザルを書くと次は審査を受けて通れば実験になる。実験はすくなくとプロポーザルを出してから半年後とか一年後になる。実験は一週間ほどだが自分の装置で実験する場合はかなりできるようになってきたことが多く。実験技術も上がってきた。実験中に行う簡単な解析もすぐにできるようになってきたし、リモート実験も安定している。だいたい2回か3回ほど実験をすると一つの論文が書けるほどのデータが得られると考えられるが質を上げていくことでもっと確率をこれから上げて行ければと思う。年間で実験は多いがあまり負担に感じるほどではなくなってきた。実験には集中力と時間を取られるがここがボトルネックではなく。やればやるほど経験がついてきて良いと感じている。
次は解析だ。解析は自分でできる簡単な解析はボトルネックではない。しかし理論計算とかは正直まだまだ足りない。人にお願いすればここはボトルネックではなくなるが、それぞれ人に頼むにしてもそれほど簡単ではない。もう少し計算の能力をあげたいと常々思っているが、早く終わらせるには人に頼む必要もある。将来的には人に頼らずにプロジェクト終わらすことを想定して自分でできる計算は自分でして能力をあげていきたい。ここデータ解析はとらえ方によってはボトルネックかもしれない。ただそこまでではない。一方で時間に余裕がるときにすこし自分で負荷を与えながらスループットは鍛えておきたい。
最後に論文の執筆である。論文の執筆は常に遅いが、少しづつ終わらせていけるような自信が出てきた。これまでの人生で学んだことは論文は何が何でも一本ずつ終わらせていくということ。少なくとも今の自分の技術ではそれが良い。今書いていることを毎日考えて、それが終わったらデータ取得や解析が終わったところから書いていく。もう少し解析した時点や実験中に書いてもいいのかもしれないが今までそれがうまく行ったケースはあまりない。とにかく論文は一本に集中して書くのが良いのだと思う。結局ボトルネックは論文だ。
まとめると今は二つボトルネックがあってたくさんある有望な単結晶試料の研究背景のためのリサーチつまり論文を読みそれを実験計画に落としてプロポーザルにするところ。もう一つは論文の執筆。論文の執筆は常々やることが大事。毎日一時間でも今書いている論文に集中して時間を取る。それが一番大事なことなんだから。今はこの二つがボトルネック。解析、計算、実験はその間にこなしていきながらこの二つのボトルネックに負荷をかけてスピードを上げていく。最終的にはすべての過程でスループットをあげていくことだがそのイメージもできてきた。今は二つだ。
今はプロポーザルの執筆のボトルネックが殻を破りそうだ。今はそちらに気が向くが論文もちゃんと終わらせる。2月の前半はそれを頑張っていきたい。あと少し。論文を書くスピードを上げていける段階に行けてその状態が日常になるのが最終的なゴールだ。論文と出していければすべての過程でスループットがあがる。よし頑張ろう。