オフィスで哲学・物理学論議。

今週は土曜日も研究した。実験提案書の締め切りが2月15日火曜日に近づいてきており、なかなか余裕がない状況だ。火曜日のまでの負担を少し減らしたかったので土曜日に自分のオフィスに行って少し提案書の執筆を進めた。よかったと思うが少し疲れていることは否めない。実験提案書の締め切りは大変重要なことでこれで今年後半実験ができることが決まってくるからできるだけ出しておきたいというのが本音だ。

提案書を書くことによりまた学ぶことが多く、もっとたくさん提案書を書いていかなければと思う。今までは本拠地はオーストラリアで十分な時間と提案書を書かせていただいてきたがこれからはもっとアメリカやヨーロッパにも書いていってビームタイムを得られていければと思う。とにかくたくさん書いていかなければと今回また書きながら思っている。書くことにより整理されるしたくさん普段から論文を読んで提案書としてまとめて言っておかないとダメだと感じた。

もちろん大変なのは論文を書くことだ。論文を書くことはもちろん一番大事なことでこの2月15日が終われば真っ先に論文の執筆に移る。だいたい4週間は論文に費やすことができてやりたいことがたくさんある。一つ一つ論文は終わらせていきたい。本当はここに書きながら頭を整理していきたいがなかなか競争も激しくなるもので書けないものだ。

実際はどうなんだろう。どうせ読んでいない気もするからということでテストで書きながらやるというプロジェクトがあっても良いという話をしていたがそれも面白いかもしれない。そのプロセスエコノミーという言葉もあるみたいだし。今あるプロジェクトはたくさんやりたいことが本当にあって整理しきれない。ただし論文もたくさん書いていかなければいかない中であまり集中力が分散するとよくない。とにかく一番大事なことは論文を書くことなのでそれに集中してボトルネックは常に論文であることを常に意識してフローを調整していかなければならないと思う。

何度か書いてきていることだがやりたいことがたくさんある。実験したい試料がたくさんありたくさん論文を読んで実験していきたいところだ。PhDを取ってそろそろ10年になるのだがここにきてこういう状況になるとは思いもよらなかった。今年は大変重要な年になると思う。この流れを不可逆なものにもっていくために毎日努力して論文を書きながらいろんな実験を楽しんで行っていくようにしたい。

忙しくなってくると本が読めなくなってくる。忙しいから本が読めなくなるのではなく本を読まないから忙しくなるということだが、言い返す言葉もない。

一方で最近はオフィスに戻って同僚と話す機会も増えてきた。これは書いたかもしれないが、17時くらいになり帰る時間になってコーヒーを飲んでいたカップを洗ってかたづけるためにキッチンに寄ったところでフランス人の同僚に偶然会い、仕事の調子はどう?という会話から学生の指導法そしてそれから科学史の話へとどんどん会話が進んでしまった。思わず40分ほど話してしまったがなかなか楽しかった。もともとはPhD学生の指導について話していたのが優秀な学生でも時々やはり指導というか方向性を示してあげることの重要性の話になった。

私の経験としてはとても優秀な学生がうちの装置に来てとても優秀だと感じだので実験を任していた。理論計算とか他の実験の結果から大体1meVのエネルギーくらいのところに磁気励起を観測することを想定していたのだが見えない見えないと騒いでいた。そこでデータを見てみたところ私の経験からすぐに答えがわかった。見えないのではなく彼らだバックグランドと思っていたすべてが磁気励起だったのだ。見えないのではなく見えていたけど違う情報としてとらえていたのだ。私にはなぜそれがすぐにわかったかというと私は経験上バックグラウンドはこれくらいだと知っていたからだ。こんなに高いバックグラウンドがあるんではなくここにはブロードな励起が見えていたと気が付いたのだ。これは本当に面白い発見だった。それ以降、私も経験を重ねてきたのだなという自負も生まれてきた。数年間も装置担当をしてきたが経験というものが着実に重ねられていると実感できた瞬間でもあった。それ以降。なるべく多くの実験に参加して観測を続けることに意味がより生まれてきて実験が楽しくなってきたのだ。優秀な学生でも経験が浅くて見落とすことがあるのだということが知れたのも良い経験だった。

それから話は歴史の話になってきた。そういう経験はフェルミとリチャードファイマンとかにも起こっていたなそういえば?という感じの話になった。ファイマンは若い研究者のところその優秀さで周りの研究者に知られていて自分自身の発見に大変興奮していて自分発見がどういう意味を持つのかがわかっていなかったがフェルミがアメリカに行ったときに(どこだったか?オークリッジか?)それはこれこれだよ。と諭したとのこと。そういうこともあったのかと聞きながら僕もハイゼンベルグの部分と全体を思い出してパウリとハイゼンベルグの関係とかについて思い出したように話をさせてもらい。ゾンマーフェルトがいかに影響力があり指導力がある研究者であること彼の教科書がいかに物理を理解している人が書いている本だったかという話になった。

そこから最後に最近フランスで書かれた哲学者が書いたハイゼンベルグの小説の話になった。ここで話は終わったのだがこの本に大変興味が出てきたらどうやら日本語訳が出ているみたいなのだ早く読みたいなと思う。

物理の話が頭から抜けない。仕事を長くし続けていて少し疲れているようだ。これからも頑張ります。