本のレビュー4【安いニッポン『価格』が示す停滞】中藤玲著

私がPhDを取り日本を離れたのは2012年の3月末である。アメリカではじめて正式にお金を稼いで研究者のキャリアを始めてきたわけだが、その後オーストラリアに住みながら台湾の研究所のために働いてきて日本が停滞をずっと見て気がする。しかしもう停滞どころではなくこの10年で見ると相対的凋落でしかない。日本人はゆでガエルの様になっていると誰か言っていたが本当にそうなってしまった。もう個人の努力ではどうにもこうにもならないところまで来たと思う。

今年の年末はオーストラリアのシドニーでステイケーションをする予定で先ほどホテルを予約した。新しく建設されたCROWNのTowersというところであるが、一泊(食事優待と朝食付き)1239ドル=約10万4000円ほど(2021年11月5日のレート)。正直最高のスイートという部屋ではないがそれでもこれくらいの金額はする。東京の日本資本の最高峰ランクの老舗高級ホテル御三家(帝国ホテル、ホテルニューオータニ、ホテルオークラ)で3-6万円というところだろうか。。もちろん予約の仕方とかにもよるが。例えばニューオータニのZenというハイグレードな部屋もあるがそれでも10万はしない。こういったときに日本は本当に安い国に凋落したのだと実感する。本書にも書いてあるが為替レートも関係ない。日本だけが安くなっている。

おそらく僕の様に海外の先進国に滞在している人間でまた時々日本に帰ってくるようなひとにとって本書が書いていることは当たり前のことでしかない。知識として得るものはあまりなかったと思う。例えばディズニーランドの入場料が世界で最安値でも日本人はきつく感じているとかダイソーが100円なのは日本だけとか、ステルス値上げに、IT人材の給料が破格に安いなど。なにせどの人材の給料も安い。アニメの技術者も買いたたかれている。優秀な人材も外資系や海外の現地企業に引き抜かれている。物も安い。ニセコも安いし、不動産も安い、美術館の入場料まで安い。逆に日本人が安いなって思っていける海外旅行先も無くなってきただろうと思う。日本だけが凋落している。

なぜそうなっているのかはわかっている。賃金が上がっていないからだ。なぜ賃金があがっていないか?それは労働生産性があがっていないから。じゃあどうすればいいかという話になるが、それが簡単にわかれば苦労しないし、皆が克服するように行動してくれれば苦労はない。本書は正直に言うとそこにはあまり踏み込んでいない。なので本書への評価は高くない。何人かの専門家の意見は聞いてい入るが個人が行動できるような提案はない。日本が安くなった。皆の賃金が安いというばかりでは正直何も変わらない。日本人の生活が厳しくなっているのは日本に住んで働いている日本人が感じていることだろうと思う。

本書の内容ではないが、僕が着目しているのは2つのことである。

1つは最低賃金を今より早いスピードであげていくこと(今は年3%くらいだが年5%程度のスピードで)で経営者にプレッシャーを与えていくこと。なぜ最低賃金をあげていくことが大事かというと最低賃金で働いている人がとても増えているし多くいること。その人たちが余裕をもって消費できるようにしていかないと消費が伸びていかないことである。すでに給料が高い人をもっと上げてもそう人の総数も少ないし消費には回らない。なので特定の仕事や年齢などの層に着目して生産性をあげるように指導する政策でなく、最低賃金が上がっていくことによりすべての業種で上がるような政策を実行すべき。生産性の弾くサービス業などの特に経営者は従業員を安く使うのではなく賢く使わないといけないくなる。もちろん経営者は反対してくるだろうが、労働生産性をあげ賃金をあげるのは経営者の仕事なのだ。このまえNewspicksで経営者が話し合っていたがDXだったりなんだり言っていたがそれが生産性をあげていますか?と聞きたい。社員教育、新しい技術に投資、DXでも自動化でもハンコ廃止でもそれは生産性をあげる手段でしかない。それらは企業として稼ぐ力を強化していますか?我々個人にできることはこの最低賃金をあげる動きをサポートすることである。なのでコロナ禍で一度最低賃金が上がらなかった年があるがコロナ禍でもそうでなくても賃金は年3%以上はあげていかないといけない。アメリカでは年2パーセントのインフレだが、賃金上昇は年3%。

もう一つはそして政府、企業、個人が投資をしていくこと。政府はきちんと教育や研究に投資をしていくこと、企業は従業員のスキルや技術に投資していく、またM&Aなどにより会社の規模を大きくして生産性をあげる。個人は国内外の株式を始めリスクを取って投資をしていくこと。特に個人でできることは投資をしてさらに多くの人が会社やビジネスを見る目を養いさらに経営者にプレシャーを与えていくしかない。また投資によりキャピタルゲインやインカムゲインを得ることは実質働く時間を増やさずに収入が増えるので労働生産性は個人レベルであがる。さらに株などを勉強することでビジネスや経営への教養もあがる。日本は政府も企業も個人も人的資本に投資をしない。つまりお金を出して勉強しない。またリスクを取って投資をしない。そんなことで豊かになれるはずがない。

本のレビュー3【企画『いい企画なんて存在しない』】 高瀬敦也著

僕がこの本を手に取ったきっかけはあるYoutube上の本著者へのインタビューからこの本を知った。彼はフジテレビ在職中からいろいろとテレビのためにヒットコンテンツを企画をしてきてその後独立してもヒットコンテンツを作り続けている人である。Youtubeの『お金の学びば!』も彼が携わっていたと初めて知った。分野は違えども私は実験プロポーザルやグラントプロポーザルを書き続けている身である。そしてもっとより良くそして多くの研究プロポーザルを書きたいしもっとより良くそして多くの研究プロポーザルに参加してより良い研究結果をたくさん残していきたいと常々考えている。この本は読むべき本と一瞬でわかった。私自身は研究プロポーザルを書く身でもあるし、たくさん研究プロポーザルを受け付けて判断する身でもある。研究プロポーザルは彼のいうところの企画であるがこの本からは一度では吸収できないほどのアイデアが入っていてこれから何度も読んで自分の研究に役に立てていくことと思う。この本の内容に関しては自分の研究に当てはめて考えてしまって読んでいたので著者の思うところと違ってしまっていたら誠に申し訳ないが、本の内容のレビューとしてはこの投稿は役に立たないとは思う。ご注意してお読みいただければ。

『決める』だけで企画になる

ということが最初の方に書かれていてこれはなるほどと思った。企画では何をするのかしないのか決めることである。そして『企画』の最終目的はなにか?ということに対して僕の答えは明確である。それは論文を出すことである。著者とは目的が違うと思うが、僕はこれにすべて変換している。僕は実験プロポーザルやグラントプロポーザルなどを書き続けているしこれからも書き続けるがゴールは新しい知識を生み出しそれを共有することである。費用対効果として見えづらいが、研究をした結果新しい知見が得られなければならない。そしてそれを論文にしてほぼ無料の形で共有できる状態にしておくところまでが仕事である。

『企画するひと』が足りていない

というところにも共感した。科学者は基本的には研究を企画できる人しか残っていない。勉強ができて優秀な人で物事の理解がはやくたくさんの情報を吸収できる人でも、自分で現状のあらゆる知識をかき集めてまだわからないことをあぶりだしそしてまだわからないことがわかると何が良いのか意義を見出し、未踏の領域の新しい知識を作り出す能力があるかどうかはまた別の話。たまに研究始めたてのひとでもたくさん実験する人が成果を挙げたりする人もいるがとにかく企画をたくさん出せる人はすごい。科学の世界では企画することも結構難しいかもしれないが、むしろ最終目的にたどり着くことも難しいと感じる。これは企画も同じか。科学の場合は最終目的にたどり着くと科学の場合は自然と次の企画は出てくる。なぜならあることがわかるとわからないことがわからないことが必ずでてくるからだ。これはカントが純粋理性批判で言っていたように理性は終わりがないからだ。

『いい企画』を出すにはヒット作品には目を通しておくとよい。

ということに納得した。自分は物理学者としてはちょっと斜に構えていてはやりのものに追随しないという傾向がある。それはなぜか?というと自分の能力が高くないからだ。新しいサイエンスが出てきたときにそれを最速で終えるのはやはり超優秀な人たち。世界中そういう人たちが寄ってたかってシステマティックに関連知識を整えていく。そこで争ったらやっていけないのだ。でも一方でしっかりと今はやっている研究を勉強しておくことは重要だと思った。なぜ良いと思われる研究なのか?なぜ皆が着目して高い熱量で取り組む問題なのか?自分もたくさんの実験プロポーザルや論文を読んで判断する立場なので常々考えて自分の研究にフィードバックしていきたい。

『企画』をストックすれば天才を装える。『企画』書の形にして残しておく。たくさん『企画』をしておく

これにはすごく共感してしまう。研究の場合はとにかくいろんな研究をしておくのが良い。どれが大きく当たるかはわからない。2021年のノーベル物理学賞は気候変動の地球物理といわれる分野で取られていたが、まさに研究されていた当時これが着目されることになるとは夢にも思われなかっただろう。そして研究者として企画書として残しておくということが本当に大事だと思っている。研究の場合はアイデアがあってそれに対してこれまでの研究背景があってこれまでわかっていることはどこまででどこに問題があってそれに対してどのようなアプローチをとっていくか?さらにそのアプローチに対して実際に実験計画や計算をして結果を予測しておく必要がある。それにより企画を実行することにより明らかになるだろうことまでを書いておく必要がある。そうしておくとふとしたとき学生や他の研究者に話題があがった時にこういう企画があるんだけど実行してみないと提案することができ実際にプロジェクトが進む。そうでなければ絵に描いた餅。僕の場合は2-3枚の英文の企画書にしておくか。背景までグラフにまとめたパワーポイントを作っておく。ただこれはやるべきとわかっていても時間のある作業であり、日常の業務を先にこなしてしまう。企画書の形で置いておかないとすぐにアイデアも企画もすたれてしまい。いつかしたいことになってしまう。良い企画などは存在しないのだからたくさん企画して、企画書として残しておいて、それにいろいろなパターンをストックしておくということは大事であるなとおもう。

その後、本の100ページくらいからはその企画のパターンがところどころ書いてあってこれはシステマティックには書いてないが信じられないほどたくさんの情報量が詰まっていたと思う。

例えば、ペルソナ、既視感を使うこと、主語を置き換えること、企画と無関係の世界観の土台を築く、ダジャレを使う、パワーワードを使う、主語を逆転させる、ランキングシステム、ライバルのような比較対象をもつ、とりあえずくくるなどなど。

とにかく企画を立ててそれから派生させてたくさんの企画を作るのにこういったテクニックは役に立つのだなと思った。この本は大変参考になった。ビジネスの世界でたくさん企画をされている人はこうやって発想を広げているのだなと思ったし、とても情報量が多い部分であった。たとえばパワ―ワードを使うっていうのは物理学世界だと皆が知っているような言葉だったりはやりの言葉だったりする。例えば量子何とか?とか最近だとトポロジカルなんとか?カイラリティとかは上のいくつかの要素を含んでいると思われる。ランキングシステムというのも面白かった。なになにランキング題してカウントダウンをしていくだけで企画として成立する。例えば僕は本のレビューをこうして書いているがもしストックがたまってきたらもっとも読まれている僕のレビューランキングとして新たにブログが書けるというようなことかな?とりあえずくくるっていうのも科学ではよく使われることである性質を持っている物質を並べてみたり、元素で物質を並べてみたり、結晶構造で物質を並べて比較してみたり。ある物質を調べつくしたら元素を置換して同じ研究手法を適用して系統的に体系的な知識を構築していったりする。ライバルのような比較対象を作るっていうのも僕が最もやっていたことで自分の装置は世界に比較できるものが10ほどあるがそれと比較して性能やサイエンスなど相手を研究したり、彼らの研究の質や分野を研究するだけでも私ができることがほぼ無限に出てくる。あそこには負けたくないって思えることでいろんあサイエンスに出会う機会が増える。

また企画に対して『人が理屈抜きに興味を抱く不変的な要素』お金、食、性(モテ)、ナショナリズム。というのは参考になった。物理学ではあまり役に立たないところだが、世の中の企画というものが大抵これらに結びついているのだなと実感した。モテる何とかとか?世界が羨むなんとかな日本とか?なんとかで大儲け?食フェア?とかいろいろあるものなと思った。

自分の企画を歴史にする。

この部分は少しわかりづらかった。著者は自分の記憶や学びが『経験』か 『歴史』かを判断しておかないと結果的に自分の企画の二番煎じばかりになるということを述べていた。自分がやった研究や企画でもその中でも普遍的に通じるものを考えてみて突き詰めてみるの?物理の場合は問題解決の方法とか、いくつかの自分がやってきた研究で普遍的に言えることはなにか? 科学の問題でも哲学や倫理の問題でも自分が書いた論文で普遍的に革新的だったところはどこか問い直してみるのも良いかもしれない。

企画は世の中に出してこそ価値がでる。

これこそまさにそうアイデアだけではなくて企画書にしておく。そしてそれを誰かに提案する必要があるし、できれば実験して、できれば解析して、それをいろんな人と議論したり、プレゼンしたり、共同研究したり、そして論文にしておくのが一番大事。世の中に出しておかないと誰も見ないし誰もその生み出した知識を使わない。

二人で会議する。

というのも大事だなと思った。差しで飲んだり、ミーティングするということは相手に向かい合うことであり、3人だったりそれ以上の人にプレゼンするよりもお互いにとって濃厚なミーティングになり、企画をきちんと伝える必要があるし、フィードバックもしっかりと来る。大事なミーティングだと思った。

企画は腐る。失敗した企画はさっさと忘れる。好きな企画を選ぶ。

重要なこと。企画をしたらなるべく走り出しておかないと時代と共に時間ともに腐っていく。そして失敗した企画なんて誰も覚えていない。研究をしていてダメな実験結果になって自分自身はへこむことがたくさんあるし、恥ずかしいこともたくさんあるが、どうせ人の失敗なんて誰も覚えていない。成功して論文となっているものだけが評価されるのだから失敗した企画なんて忘れよう。分析なんていらない。あとは好きな企画を選ぶというのも大事、選ぶ基準は大切だが、好きな研究・楽しそうな研究と自分が感じている研究をやらないとモチベーションに差が出てきて最後のところ論文にできるまでのやり切る力に差が出てくる。やはり自分が心底やりたい研究でないと大変な研究を続けていくことはできない。

企画力とはシステムである。インプット力、結び付け力、多産力、巻き込み力、やり切る力の5つに分解できる。

なるほど。よくわかった。ここもそれぞれ自分がプロポーザルを書いていくうえで自分でよりよいプロポーザルや論文を書いていくうえでこれらの力をあげていくことは重要に思った。

できることに制限されてしまう実験物理学者

として最後に自分に対して注意点を足しておきたい。よく理論物理学は何を研究するか自由に決められるという。数学者も似たようなものかもしれない。なぜなら紙とペンだけで研究を完成させられるタイプの研究があるから。実験物理学者の場合は自分の装置でできることを意識してしまいがちだ。そこにはやるべきこともたくさんあるが、いつの間にかそれでできることを研究対象に選んでしまう傾向がある。自分の装置でできることは人に頼らずできるし。特に僕の様に装置を管理しながら研究しているとそういう傾向が出てくるかもしれない。なのでいつもたくさん企画して自分の創造力を超えた研究身に携わって、自分のできることを狭めないようにたくさんの人とたくさんサイエンスをしていって自分の研究のすそ野を常に広げていきたいと思う。自分でプロポーザルを書いて書きたい論文は山ほどあり一生楽しんで書き続けていくような科学者になっていこうと思う。

本のレビュー2【世界一やさしい『やりたいこと』の見つけ方 人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド】 八木仁平著

私は物理学者である。日本で博士号を取得後、アメリカでポスドク2年強、オーストラリアでテニュアとして研究者をしてもう7年になる。1カ月ほど前に誕生日を迎え39歳となった私は不惑の歳を前にいろいろと考えることが多くなってきていて、このようにブログを書いて本のレビューをするのにも理由がある。前と違って勉強に対するモチベーションというものがあまり上がってこないのだ。昔は無邪気にいろいろなことを勉強することは仕事に役立つと思ってきていたわけでだが仕事をしばらくしてみてそこまで影響はなかったのかもしれないと思うことに加えて仕事でも大体生きていくのには必要なほどの能力は身に着けてしまった感じがあること。なので、さぼらなければこのまま定年までは行けそうだよねって思う自分がいる。もちろんさぼってはいないし意欲的に取り組んでいるほうだ。一方で最大限に昇進したとして研究所の所長だったりして頑張ってあそこに行って何があるのか?なにもなさそう?って思ってしまう。むしろ今みたいなポジションが一番好きな研究に没頭できるのでは?と思ってしまう自分がいたりする。私は物理学者としての才能は三流だが運がとてもよく早めにテニュアをいただいてまあ幸運だったこと、まあ英語も全然できないが間違えても恥ずかしいという気持ちがマヒしてしまうくらいにはなった。論文も頑張ったら必要なデータを実験して取って解析して論文としてまとめる力もまあできてきた感じはある。でもこれから超がんばっても超一流の科学者になるなんて気力も体力もなさそう。でもあきらめたくない自分もいる?少なくとも自分到達できる最高レベルには少なくとも頑張っていきたい。なんてモヤモヤ。

さて40代に向かっていくに向けてこれから何をしたいか?てかもうやりたいことしてきたよね。。てか待てよ?自分は物理学者になってやりたいことをやってきたはずだが果たしてそうか?同僚の中でも本当にやりたくてやっているような人もいて本当にそうなんだろうか?英語を勉強することも楽しかった。ただこれ以上にやって何がある?というかやるべきことはわかっていてただやるだけ。。。おいおいと。長くなってしまったが、そう思ってもう一度『やりたいこと』は何だったか?を見直してみたい考え直してみたいと手に取った本である。

結論から言うとこの本は良い本です。著者が何を言いたいかというと自己理解をしろということです。その自己理解をやりたいことを見つけるために三つの柱に注目する点を分解しましょう。その三つとは

  • 好きなこと:価値観:What
  • 得意なこと:才能:How
  • 大事なこと:情熱:Why

まあ簡単にいうとこの三つの要素が重なればそれがあなたが本当にやりたいことである。本書を読むと具体的にそれぞれがどういったものでどういう風に見つけるかが書いてある。著者の説明は僕自身には向いていなかったように感じたが言いたいことはわかった。というか言い方を変えると自分がなんとなく考えていることをそれぞれの要素に落とし込んでいくことは本人しかできないし、さらに言うと定義は究極的には各個人が決めてもいいと思われるのでここは説明が難しいのがわかる。なんせ自己理解なのだから。

この三つを柱に自己理解をすればいいと理解してからその後の文章はちょっと自分には合わなかったと思った。しかしこれは自分が今まで好きなことをやってきたからで逆に言うと悩まなかったのだからかもしれない。そのあとちょっとだらだらと読んでしまい、まあまあの本かなと思ってしまったところで巻末まで来た。そこで衝撃の特典が。。。

それがこの三つの見つけるそれぞれ30の質問表。これをやればいいじゃん?一つ一つの質問を答えるのは大変そう。なぜなら合計90の質問がある。正直一日二日でできるとは思えないがきちんと質問に向き合って正直に答えていけばこの三つの要素の理解は深まると思う。自己理解はどうせ一日二日でするものでなく、このようにブログを書いたりしてコツコツと自分に対する理解を深めていく作業なのでこれらの質問に答えていけば必ずというか少なくとも自分の理解は深まり、それに従って自分のしたいこと本当にやりたいことがわかってくるということだと思う。

公式は以下

やりたいこと=好きなこと×得意なこと

本当にやりたいこと=大事なこと×好きなこと×得意なこと

であり、これを理解したと合計90の質問に自分なりに答えるだけでもかなり自己理解は深まる。確かに宿題はヘビーではあるが本書はそれらをこなせば本当に人生に役立つ本だと断言できる。なのでやりたいことを見つけていない人、やりたいことをやっていると思っている人も本書を読めば自己理解を深めることができる。それは必ず人生に役に立つと思う。質問が合わなければ自分で考えればいい。

したがってその道筋を示してくれたこの本は大変に良い本だと思う。

本のレビュー1【”投資””副業”お金の基本がゼロからわかる稼ぎ方革命】杉村太蔵著

私は政治に興味がなかったためにこの杉村太蔵という方を政治家としてどういう成果を出した人かは知らなかったし、今も知らないと思う。ただしYoutubeに出ている映像やテレビで拝見した杉村氏を見て一つは愛されキャラだなということともう一つはめちゃめちゃ明るくて人を元気にさせる人だなと思った。対談などの動画も拝見したがおそらくお話していても楽しい方だろうと思う。彼が筑波大学を中退した後に、清掃会社で働いていて掃除を担当したビルのフロアが証券会社でそこで仕事ぶりが認められ、証券会社のアシスタントアナリストのアシスタントから仕事を始め、ある時政局が株価に与える影響のリサーチを命じられた時に自民党のホームページにあたり、その時ちょうど立候補者を自民党が探していて、論文を書いたら通って選挙に出たら通って議員を志してからわずか一カ月で国会議員になり、その後2週間で謝罪会見という。。。ジェットコースターのような人生。その後特に彼の動向をチェックしたことはなかったが元衆議院議員の肩書で今は投資家という。何をしているのかが気になってしまって本を手に取った。

正直に言うとお金に関しては実際に増やし方のテクニックなどは書いてなくてお金に対する考え方、副業や投資を薦めはするもののよく考えてくださいねという感じだった。お金に対してはあまり目新しいこと書いていなかったように前半は思っていたが後半になってこの本はちょっと違うかなと思い出した。やはり自分で投資をして事業を起こしている人は違うなと思った。

まず前半でこの人らしい視点だなと思ったのは国会議員の使い方のアドバイス。おそらく今までのお金の本でもこういったことに言及する本はなかったと思う。民主主義の日本だが資本主義のと一緒で使い倒している日本人って実はなかなかいない。よく国会議員は人の話を聞かないとか世間知らずとかいうが国会議員からしたら陳情なり選挙で関わる人々に周りに囲まれているわけで普段から政治に関わろうとしない人の意見が伝わらないのは当たり前だ。だから気おくれせずにいろいろと質問したりお願いしてもいいのだなとわかった。議員は我々民意の代表なのだから議員が言えば役所も動くということもなるほどと思った。

中盤くらいでは太蔵流投資方法や基本的な会社の健全性の見方などが書かれていてこれはこれで面白かった。きちんと勉強している人には太蔵氏が使っている基準はこれが彼流なんだと考えられるしそこに理由が書いてあるのも参考になる。初心者は盲目的に彼が示した7つの指標を理解してチェックしてみるだけでも参考になると思う。僕自身も投資家の一人であるが海外に住んでいるので日本株には直接投資していないながらもやはり日本人には一人でも多く投資をしてもらいたいしその中から一部でも本当の投資家が生まれてきてほしい。積み立てNISAからでもiDeCoでもいいから早く始めてほしいしその中でも興味を持った人はどんどん投資をしてほしい。今は20代や30代の人で投資をしている人が増えてきているようだし、積み立てNISAの口座開設数を見ていてもかなりのスピードで伸びている。なるべく多くの人が投資家としての視点を生きていくうえで身に着けてほしいと思う。

後半で政策への提言がされていてこれにはこれはなかなか彼にしか書けないことだと思う。高齢者ベーシックインカム、現預金の相続税100%、配当金非課税制度、スーパープレミアム上場企業、ESG投資の促し方、働き方改革、社会人の学びの無償化などの提案はとても参考になったし納得感のある提案だった

特に投資家として杉村氏がやられている北海道音威子府の実験の話、旭川の商店会の復興プロジェクトの話はとても面白かった。こういう人がどんどん増えるといいのになと思う。自分も投資家のはしくれとしてこういったプロジェクトに少しでも参加できればいいなとおもう。そう思う人がそしてお金を出せる人が日本でも一人でも多くいればそれだけ日本でも成功確率が上がると思う。

最後に本当に参考になったのは彼が言ったマクロ経済政策に対する5つのポイント問うことで、①金利、②税制、③財政、④規制、⑤通商の五つが時の政権が取れるマクロ経済政策で、逆に言えばこの5つの組み合わせしかないということを教えてくれたことだった。これは大変勉強になった。これらの視点を元に彼は小泉政権、安倍政権、菅政権をまとめているがこういった分析ができることによって自分自身もこれからの政権を評価する基準ができると思う。

金利は下げて、税制は減税で、財政は支出拡大、規制は緩和、通商政策は自由貿易志向が良さそうだと個人的にはまたは直感的には思ってしまうが、これは実際にはどうなんだろう。でもこれから勉強するにしてもかなり方針が立ちやすくなったと思う。元気な日本にするとか豊かに日本にするとかどうでもよくてこれらに対して政治家がどういったポジションを取っているかを政治家からハッキリと語って欲しいし、国民もきちんと確かめて投票していきたいし、投資もしていきたい。この本はとても勉強になった。